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動物の心!?を読む

 秦の始皇帝が求めた「不老不死を実現する薬」の開発は、我々ヒトがおそらく実現することのない夢であろう。薬を開発するとき、私たちは安全性の観点からいきなり人に作用機序や安全性が確認されていない薬を投与することはできず、動物福祉の観点を守りながらも実験動物を用いた検証を行う必要がある。近年認知症や鬱、統合失調症といった中枢(脳)機能に作用する薬の開発が求められている。しかし果たして寿命が2年程度しかないマウスやラットに認知症や鬱、統合失調症があるのだろうか?

 我々は画像と人工知能を用いた実験動物の行動解析システムの開発を進めている。動物の心!?が読めるか定かではないが、これまで我々が見ていなかった彼らの多くの表現が数値として見えてきている。今後これらの「心の病」の解析のみならず、動物の喜びや楽しみといった喜怒哀楽の表現も探してみたい。

放射線動物科学 村田 幸久

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C 2024 応用動物科学専攻広報 担当