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眼で見る生命現象 2
幹細胞の分化能解析 ― はじめの一歩

 私たちの研究室では、マウスの初期胚(胚盤胞)から樹立した培養細胞株である「胎盤の幹細胞(TS細胞)」を使い、その分化を制御するしくみの解析から、胎盤形成の制御機構を明らかにしようと研究を行っています。いわゆるキメラ実験は、初期胚から樹立したこのような細胞株が、さまざまな細胞への分化能をもつ幹細胞であることを示すもっとも説得力のある実験方法です。図は、GFPを全身性に発現するマウス胚から樹立したTS細胞を用いて作製した「キメラ胚」で、GFP陽性細胞が、将来胎盤になる胚体外組織だけに分布することを世界で初めて確認できたキメラ胚の写真です。この写真を撮影してからすでに20年以上の月日が経っていますが、胎盤形成の制御機構は、まだまだわかっていないことばかりです。

細胞生化学 田中 智

 

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C 2024 応用動物科学専攻広報 担当