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眼で見る生命現象 3
見えないRNAを見る ― 試験管内スプライシング反応

 私たちの研究室では、高等真核生物におけるRNAのスプライシングと他の遺伝子発現諸過程との連携、そしてスプライシング異常による疾患の原因解明を行なっています。その端緒となったのがスプライシングを受けたmRNAだけに効率よく結合するタンパク質Y14の発見ですが、そこで活躍したのがin vitro(試験管内)スプライシング反応でした。この反応には、in vitroで転写し、32Pで標識したmRNA前駆体を用います。ゲル電気泳動を行なった後で、X線フィルムに感光させると、RNAが存在するところが黒く感光します(図左)。RNA分子はもちろん肉眼では見えません。しかしこのような方法を用いることで、mRNA前駆体からラリアット型イントロンが切り出され、mRNAが産生される様子を「見る」ことができます。20年以上前から用いている古典的な方法ですが、いまだに他の研究者からこの手法を使った共同研究の依頼があります。

細胞生化学 片岡 直行

 

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C 2024 応用動物科学専攻広報 担当